03/22 14:16 UP! 「ビニールシート」と「幸せ」について考える秋(アキ)(27歳)
森絵都『風に舞い上がるビニールシート』
面白かった。
しかし単純に、綺麗な話だとか、美しい物語という言葉で表すことはできない。
この本は、自分にとって一番価値のあるモノを探す人たちの、表題作を含めた6編の短編で綴られている。
まず表題作「風に舞い上がるビニールシート」のタイトルを読んだ時、
春の夕方の少し冷たい風が吹くような、優しさと寂しさが少し混じった物語を想像した。
しかし実際は違う。
ビニールシートは「幸せ」の隠喩である。もっとシビアには「命」のことである。
つまり人の幸せや命は、風が吹けば飛ばされるほど弱く、脆い。
だからこそビニールシートは自分1人で支え続けることは難しく、誰かと一緒に守っていかなくてはいけない。
そういう過酷さと、人の繋がりを描いた作品だ。
この本を読んで、ふと自分にとっての一番大切なものって何かを考えた。
考えれば考えるほど、幸せになるための要素は沢山あるが、どれが自分にとって一番価値があるものなのか、その優先順位を決めることは難しい。
ただ一つ思うのは、
誰かと過ごす時間も、きっと同じように繊細で、簡単に揺れてしまうものだということ。
だからこそ、その一瞬を大切にしたい。
無理に取り繕うんじゃなくて、
その人がその人のままでいられる時間を守ること。
少し疲れているときも、うまく笑えないときも、
どんな状態でもそっと寄り添える存在でいたいと思った。
触れ方ひとつ、言葉ひとつで、
安心できたり、少しだけ心がほどけたりするような時間。
そんな風に、誰かの大切なものを一緒に守れるような、
思いやりのある関係を築いていけたら嬉しいです。
ひとりで支えるには、少し心細い日もあると思うから。
皆さんのビニールシートを僕にも支えさせて欲しいです。
風が強い日は、僕に会いにきてください。
03-5579-9383